
【2026年10月】「手入れされた家」が評価される仕組みへ|国交省の検討会が始まりました。売却・購入の前に残したい記録

情報更新日:2026年10月24日 / 執筆:フォレストスタイル株式会社 森田拓郎
- 国土交通省が10月8日、手入れされた家が、売るときや住宅ローンで評価される仕組みを考える検討会を始めました
- まだ何も決まっていません。とりまとめ案は2027年3月の予定です
- 方向ははっきりしています。点検・修繕の記録が残っている家ほど、安心して売り買いできるようにする、という考え方です。記録は今日から残せます
何が始まった?
- 10月2日国土交通省が「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の開催を発表
- 10月8日第1回。今の課題と、検討の方向(案)が示される(会議は非公開、資料は公開)
- 12月7日第2回。関係する団体の発表と、論点の整理
- 2027年3月10日第3回。とりまとめ案
「維持保全」は、点検や修繕をして家の状態を保つこと、「流通」は中古の家として売り買いされることです。大学の先生、住宅ローン会社、住宅情報サイトの編集長、弁護士などが委員になり、下に3つの作業部会(WG)を置いて細かいところを話し合います。
10月22日時点で、第1回の議事概要(話し合いの中身)はまだ公開されていません。
検討する3つのこと
インスペクション(建物状況調査)=建築士などが、柱・基礎・屋根・外壁などの傷みや雨もりを調べること。瑕疵保険=買ったあとに構造や雨もりの欠陥が見つかったとき、補修の費用が出る保険。
資料には、ねらいとして「円滑な売却」や、将来の家の価値を見込んで毎月の返済を軽くする住宅ローン(残価設定型住宅ローン)なども書かれています。新しい家が高くなり、建つ数も減るなかで、今ある家を手入れしながら長く使い、次の人に引き継ぐための話です。
数字で見るいまの中古の家
国土交通省「住宅の維持保全・流通に関する現状について」(検討会の資料2)から。もとは住宅着工統計・住生活総合調査(2023年度)・住宅市場動向調査(2025年度)・インスペクションに関する調査(2022年度)です。
中古の家の売り買いは増えていますが、点検をしている家、記録が残っている家はまだ少なく、買う側も「記録があるか」をあまり気にしていません。新しい家を選んだ方に中古を選ばなかった理由を聞くと、「隠れた不具合が心配」が上位にきています。記録が残っていれば、この心配を小さくできます。
売却・購入をお考えの方にとって何が変わる?
| いま | これからの方向(検討中) | |
|---|---|---|
| 手入れの記録 | あれば説明に使える。なくても売り買いはできる | 記録がある家が、評価されやすくなる方向 |
| インスペクション | 売買のときに受けるのは約3割。受けるかは売主様・買主様しだい | もっと広め、中身を充実させる方向 |
| 住宅ローン | 建物の手入れの状態は、ほとんど見られない | 手入れの状態をローンでも生かす方向 |
今日から何かが変わるわけではありません。ただ、制度が決まってから記録を集めようとしても、過去の領収書や保証書は見つからないことが多いものです。今から残しておけば、制度がどうなっても、売るときの説明に使えます。
森田から見た「家の記録」
- 図面・修繕の領収書・保証書は、多くの方がお持ちです
- 買ったときの売買契約書も、たいてい残っています
- 書類がない方が多いです
- 家の片づけ(不用品の処分)のときに、書類と気づかずに捨ててしまったと思われる方もいます
当社の対応エリアの都島区・旭区・城東区・北区・守口市は、築年数のたった戸建てや、相続した家のご相談が多い町です。相続した家を片づけるときは、捨てる前に、図面・契約書・領収書が入っていそうな箱や引き出しを先に見るようにしてください。相続した家の売却の流れは相続した不動産の売却手続きにまとめています。
売って利益が出たときの税金(譲渡所得税)は、売った金額から「買ったときの金額」などを引いて計算します。買ったときの金額が分からないときは、売った金額の5%とみなせます。40年以上前に買った家では、契約書の金額より、今の売却代金の5%のほうが高いこともたまにあります。どちらで計算するかは、税理士か税務署に確かめてください(詳しくはこちら)。
売却をお考えの方が残したい記録
| 記録 | たとえば | あると何がよい? |
|---|---|---|
| 買ったときの書類 | 売買契約書・重要事項説明書、建てたときの請負契約書と領収書 | 税金の計算や、いつ・どんな条件で買ったかの説明に使える |
| 建てたときの書類 | 図面、確認済証・検査済証、住宅性能評価書、長期優良住宅の認定通知書 | どう建てた家か、いつの基準かを示せる |
| 修繕・リフォーム | 屋根・外壁・水まわりの工事の見積書・領収書・保証書、工事の前後の写真 | いつ・どこを直したかを示せる |
| 点検 | シロアリの点検・防除の記録、給湯器などの交換日、ハウスメーカーの定期点検の報告書 | 続けて手入れしてきたことを示せる |
| マンション | 管理組合の長期修繕計画、大規模修繕の時期と中身(管理会社に頼めば出してもらえることが多い)、室内のリフォームの記録 | 建物全体と部屋の両方の状態を示せる |
紙のままで大丈夫です。1つの封筒やファイルにまとめ、スマホで写真を撮っておくと、なくしても困りません。売るときに必要な書類の全体は家を売るときの必要書類に、築年数と手入れの費用の考え方は築年数と手入れの費用にまとめています。
不動産会社は売却の依頼(媒介契約)を受けるとき、インスペクションをする業者を紹介(あっせん)するかを示す決まりがあります(宅地建物取引業法)。売る前に受けておくと、買主様に建物の状態を先に伝えられ、瑕疵保険に入れるかどうかも分かります。
インスペクションの結果は、買主様の安心につながることが多いです。一方で「大きな欠陥が見つかると、かえって売りにくくなる」とも言われます。私は、欠陥があるなら、問題になるのが売る前か、売ったあとかの違いだと考えています。当社では売却のご相談のとき、この考え方をお伝えしたうえで、インスペクションをご案内しています。
点検・修繕の記録が残っている家や、インスペクションを受けた家は、今はまだ少数です。記録がないこと自体は珍しくありません。建物で気になるところがあれば、契約の前に、担当の不動産会社に相談してください。
これからの予定
12月7日の第2回で論点が整理され、2027年3月10日にとりまとめ案が出る予定です。そのあと、法律や住宅ローンの仕組みがいつ・どう変わるかは決まっていません。新しい発表があれば、この記事か新しい記事でお知らせします。
都島区・旭区・城東区・北区・守口市で、「この家の記録はどれを残せばいい?」「売る前にインスペクションを受けたほうがいい?」というご相談もお受けしています。売るかどうか決めていない段階でも大丈夫です。
出典
- 国土交通省「「第1回 住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の開催について」(2026年10月2日)
- 国土交通省「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」第1回の資料(資料1-2・2・3・4、2026年10月8日)
2026年10月22日時点の情報です。検討会の中身は、国土交通省の発表で確かめてください。

森田 拓郎
フォレストスタイル株式会社 代表取締役/宅地建物取引士
2007年から大手不動産仲介会社で約15年、売買仲介を担当してきました。大阪市都島区の出身・在住です。中古の戸建て・マンションの売却・購入のご相談をお受けしています。最初のご相談からお引き渡しまで、代表の森田が担当します。
対応エリア:都島区・旭区・城東区・北区・守口市(エリア外のご相談もお受けします)
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